2009年01月
2009年01月13日
地球の寿命
2009年最初の投稿です。
年末に読んだ本がこれ。
The Last Hours Of Ancient Sunlight
Thom Hartmann
ここでは、地球の寿命について、とてもわかりやすく
書かれています。
そこで、いくつかを抜粋してみます。
まず、始まりは、こうあります。
It all starts with sunlight.
(全ては太陽から始まっているのだ)
言うまでもないが、地球の全ての生物は、
太陽から降り注ぐエネルギーで活かされている。
太陽から降り注ぐ熱、光、紫外線が
全ての生物のエネルギーになっている。
また、こうした太陽の恩恵を受けられるのは、
植物が太陽のエネルギーを集めて、貯蔵し、
他の生物に食べられる為に存在してくれているからだ。
赤道直下には、他の地域では見られない
特殊な生物が多く存在するのも、そうした
太陽との関係が影響している。
木は土に育ててもらっていると言われるのは
よくある誤解で、木は、殆どが二酸化炭素と
水で成り立っている。
さて、人間、及び全ての動物は、太陽エネルギーから直接
細胞を作ることはできない。太陽エネルギーを
食べて育つことが物理的にできない。
しかし、水と空気、そして植物からはできる。
そこから、歴史的に、人間の人口は、
身近に手に入る植物の数に制限されてきた。
それが為に、人類が誕生したとされる20万年前から、
4万年前くらいまでは、地球の人口は5百万人を
超えなかったと言われている。
しかし、この、4万年前頃に、重大な事が起きた。
人類が、こうした太陽エネルギーの恩恵を受ける
パターンを変えたのだ。それは、牧畜。
それまでは、植物の育たない土地では食物が
限られていたが、牧畜により、動物が、
人間が食べられない植物も食べて育ち、
その動物を人間が食物にしたのだ。
そして、1万年前頃には、農業を始めた。
それにより、食物とならない森を開拓して、
食物を確保し始めた。
更に食物が増えたのだ。
そうして、紀元前8,000年頃からキリストの誕生くらいまでに、
地球の人口は5百万人から2億5千万人に激増する。
しかし、この時点では、まだ、太陽のエネルギーを
リアルタイムで使うことしかしていなかった。
ところが、中世に入り、太陽エネルギーを備蓄したものを
使うようになった。植物が、3-4億年前に太陽から受け取った
エネルギーが化石化したものを使い始めた。
それが、石炭。
そうして、900年前くらいから、人類は初めて、
太陽エネルギーの「過去の貯金」に手をつけ始めた。
ここで、人類の生活に劇的な変化が起きる。
こうして、太陽エネルギーの備蓄を使うことができる
ようになると、リアルタイムで太陽を活用する必要性は
相対的に減ってくる。そこで、人類は森を切り倒し、
食物を育て始める。森に熱を依存する必要が
減ってきたからだ。冬には石炭ストーブを使えば
薪を使わない選択もできる。
こうして、食物が更に大きく確保されるようになると、
地球の人類は大きく増えた。西暦1,000年くらいに
5億人だった人口が、1,800年くらいに、初めて
10億に達する。
ここは、人類史上にとってとても重要な位置づけになる。
というのは、我々の祖先は初めて、地球の太陽の備蓄に
手をつけたからである。借金に手を染めたようなもの
かも知れない。
更に、我々は、もう一つの太陽エネルギーの備蓄を発見
することになる。それが石油だ。
石油が発見されたのは、1859年にアメリカのペンシルベニアで
見つかったのが最初と言われている。石油とトラクターの活躍で
農業の生産性が飛躍的に向上し、食物の生産が爆発的に
上がった。
石油は、他の目的にも使用された。石油を使って、
衣服が作れるようになると、綿花栽培の土地の分まで
食物の生産に転換できた。そうして、食物以外の目的で
使っていた広大な土地を、食物の生産に置き換えることで、
世界の食物の生産量が飛躍的にあがった。
その結果。。。
人類の人口が最初に10億人になるのに20万年かかったのが、
次の130年で20億人に達し、次の30年で30億人に達した。
1960年の事だ。しかし、そこで我々は止まらなかった。
石油の精製技術の進歩もあり、この太陽エネルギーの
備蓄を、更に効率よく使うようになり、食物生産が
飛躍的に伸びた。
結果、1960年から1974年の間に、世界の人口は40億人に
達した。
次の10億人は、わずか13年で達成され、1987年には
世界人口が50億人になった。
そして、次には12年で新たな10億人が増え、
1999年に60億人となった。
この割合で人口が増加するとどうなるか?
すると、2030年には100億人、2070年には200億人、
そして、2150年には800億人になるという。
しかし、実際には、この割合で人口が増えるとは
どの専門家も思っていない。というのは、それらを
支えるだけの食料はさすがにないのだ。
ところで、こうした莫大な人口の増加は、前述の通り、
太陽エネルギーの過去の貯金に大きく依存している。
もし仮に、過去の太陽エネルギーを使わない時の
食物は、5−10億人くらいの人口しか支えられないと
言われている。残りの50億人は、飢え死にすることに
なる。
では、この貯金はいつまで使えるのか?
石油が発見された1859年から、7420億バレルの石油が
採掘されてきた。現在では、残りの埋蔵量は
1兆バレル程度と言われている。
このままで行くと、石油の残りはあと45年くらいで
なくなると言われている。しかし、この45年という
数字は、今のペースで使われたら、という計算でしかない。
人口増加を見込んではいない。実際、ある調査によると
2020年までにエネルギー需要は現在の倍になる、
という発表が1997年になされた。
さてさて、長いブログになりました。
この話は、ここで終わりではありません。
この本にはまだ続きがあります。
ただ、ここまでをみても、今の世界がそのままだと、
機能しなくなるのは明らかですね。
国同士で戦争している場合ではなくて、
我々が生き方を変えないと、生存を続けられなくなる
のが自明のようです。
子供の親としては、これは複雑です。
このデータの通りならば、子供が働き盛りの時に、
石油がなくなるワケですからね。
そして、それまでに、代替エネルギーの開発が
加速しないといけないでしょう。
さて、こうした地球の寿命、という観点から
考えると、経済恐々がプラスになるか、マイナスになるか
観察したいと思います。
一般的には、目の前の数字が真っ赤だと、環境などは
先延ばしにされます。実際、代替エネルギーの
開発は、ブッシュ政権で予算が大幅に削られるなど、
時代を逆行する動きがまだまだあります。
なので、ここしばらく、経済恐慌をどう乗り切るか、
が大きな優先順位になるでしょう。
ただ、こうした時代だからこそ、今までの在り方、
考え方を見直すきっかけになる可能性も、
ゼロではないかと思っています。
また、そう期待したいと思います。
私もいろいろ考えさせられました。
できれば近日、続きを投稿してみたいと思います。
コマースジャングル代表
礒 一明
年末に読んだ本がこれ。
The Last Hours Of Ancient Sunlight
Thom Hartmann
ここでは、地球の寿命について、とてもわかりやすく
書かれています。
そこで、いくつかを抜粋してみます。
まず、始まりは、こうあります。
It all starts with sunlight.
(全ては太陽から始まっているのだ)
言うまでもないが、地球の全ての生物は、
太陽から降り注ぐエネルギーで活かされている。
太陽から降り注ぐ熱、光、紫外線が
全ての生物のエネルギーになっている。
また、こうした太陽の恩恵を受けられるのは、
植物が太陽のエネルギーを集めて、貯蔵し、
他の生物に食べられる為に存在してくれているからだ。
赤道直下には、他の地域では見られない
特殊な生物が多く存在するのも、そうした
太陽との関係が影響している。
木は土に育ててもらっていると言われるのは
よくある誤解で、木は、殆どが二酸化炭素と
水で成り立っている。
さて、人間、及び全ての動物は、太陽エネルギーから直接
細胞を作ることはできない。太陽エネルギーを
食べて育つことが物理的にできない。
しかし、水と空気、そして植物からはできる。
そこから、歴史的に、人間の人口は、
身近に手に入る植物の数に制限されてきた。
それが為に、人類が誕生したとされる20万年前から、
4万年前くらいまでは、地球の人口は5百万人を
超えなかったと言われている。
しかし、この、4万年前頃に、重大な事が起きた。
人類が、こうした太陽エネルギーの恩恵を受ける
パターンを変えたのだ。それは、牧畜。
それまでは、植物の育たない土地では食物が
限られていたが、牧畜により、動物が、
人間が食べられない植物も食べて育ち、
その動物を人間が食物にしたのだ。
そして、1万年前頃には、農業を始めた。
それにより、食物とならない森を開拓して、
食物を確保し始めた。
更に食物が増えたのだ。
そうして、紀元前8,000年頃からキリストの誕生くらいまでに、
地球の人口は5百万人から2億5千万人に激増する。
しかし、この時点では、まだ、太陽のエネルギーを
リアルタイムで使うことしかしていなかった。
ところが、中世に入り、太陽エネルギーを備蓄したものを
使うようになった。植物が、3-4億年前に太陽から受け取った
エネルギーが化石化したものを使い始めた。
それが、石炭。
そうして、900年前くらいから、人類は初めて、
太陽エネルギーの「過去の貯金」に手をつけ始めた。
ここで、人類の生活に劇的な変化が起きる。
こうして、太陽エネルギーの備蓄を使うことができる
ようになると、リアルタイムで太陽を活用する必要性は
相対的に減ってくる。そこで、人類は森を切り倒し、
食物を育て始める。森に熱を依存する必要が
減ってきたからだ。冬には石炭ストーブを使えば
薪を使わない選択もできる。
こうして、食物が更に大きく確保されるようになると、
地球の人類は大きく増えた。西暦1,000年くらいに
5億人だった人口が、1,800年くらいに、初めて
10億に達する。
ここは、人類史上にとってとても重要な位置づけになる。
というのは、我々の祖先は初めて、地球の太陽の備蓄に
手をつけたからである。借金に手を染めたようなもの
かも知れない。
更に、我々は、もう一つの太陽エネルギーの備蓄を発見
することになる。それが石油だ。
石油が発見されたのは、1859年にアメリカのペンシルベニアで
見つかったのが最初と言われている。石油とトラクターの活躍で
農業の生産性が飛躍的に向上し、食物の生産が爆発的に
上がった。
石油は、他の目的にも使用された。石油を使って、
衣服が作れるようになると、綿花栽培の土地の分まで
食物の生産に転換できた。そうして、食物以外の目的で
使っていた広大な土地を、食物の生産に置き換えることで、
世界の食物の生産量が飛躍的にあがった。
その結果。。。
人類の人口が最初に10億人になるのに20万年かかったのが、
次の130年で20億人に達し、次の30年で30億人に達した。
1960年の事だ。しかし、そこで我々は止まらなかった。
石油の精製技術の進歩もあり、この太陽エネルギーの
備蓄を、更に効率よく使うようになり、食物生産が
飛躍的に伸びた。
結果、1960年から1974年の間に、世界の人口は40億人に
達した。
次の10億人は、わずか13年で達成され、1987年には
世界人口が50億人になった。
そして、次には12年で新たな10億人が増え、
1999年に60億人となった。
この割合で人口が増加するとどうなるか?
すると、2030年には100億人、2070年には200億人、
そして、2150年には800億人になるという。
しかし、実際には、この割合で人口が増えるとは
どの専門家も思っていない。というのは、それらを
支えるだけの食料はさすがにないのだ。
ところで、こうした莫大な人口の増加は、前述の通り、
太陽エネルギーの過去の貯金に大きく依存している。
もし仮に、過去の太陽エネルギーを使わない時の
食物は、5−10億人くらいの人口しか支えられないと
言われている。残りの50億人は、飢え死にすることに
なる。
では、この貯金はいつまで使えるのか?
石油が発見された1859年から、7420億バレルの石油が
採掘されてきた。現在では、残りの埋蔵量は
1兆バレル程度と言われている。
このままで行くと、石油の残りはあと45年くらいで
なくなると言われている。しかし、この45年という
数字は、今のペースで使われたら、という計算でしかない。
人口増加を見込んではいない。実際、ある調査によると
2020年までにエネルギー需要は現在の倍になる、
という発表が1997年になされた。
さてさて、長いブログになりました。
この話は、ここで終わりではありません。
この本にはまだ続きがあります。
ただ、ここまでをみても、今の世界がそのままだと、
機能しなくなるのは明らかですね。
国同士で戦争している場合ではなくて、
我々が生き方を変えないと、生存を続けられなくなる
のが自明のようです。
子供の親としては、これは複雑です。
このデータの通りならば、子供が働き盛りの時に、
石油がなくなるワケですからね。
そして、それまでに、代替エネルギーの開発が
加速しないといけないでしょう。
さて、こうした地球の寿命、という観点から
考えると、経済恐々がプラスになるか、マイナスになるか
観察したいと思います。
一般的には、目の前の数字が真っ赤だと、環境などは
先延ばしにされます。実際、代替エネルギーの
開発は、ブッシュ政権で予算が大幅に削られるなど、
時代を逆行する動きがまだまだあります。
なので、ここしばらく、経済恐慌をどう乗り切るか、
が大きな優先順位になるでしょう。
ただ、こうした時代だからこそ、今までの在り方、
考え方を見直すきっかけになる可能性も、
ゼロではないかと思っています。
また、そう期待したいと思います。
私もいろいろ考えさせられました。
できれば近日、続きを投稿してみたいと思います。
コマースジャングル代表
礒 一明